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ART AND MODE Vol.04
共鳴するアートとモード
Joseph Ari Aloi × COMME des GARÇONS

毎シーズン、ランウェイには多くのアートを宿したアイテムが登場する。そのひとつひとつのアートには選んだデザイナーの確固たる意志が息づき、その背後にはアーティストとブランドの歴史やドラマが存在する。アートとモードの共鳴が産んだ特別なアイテムたち。それらを知らずに着るのはもったいない。その背景を知れば、もっとそのブランドが、そのデザイナーが好きになるはずだ。ハイファッションを通して、アートを知る喜び、着る喜びを感じてほしい。

COMME des GARÇONS HOMME PLUS

 アートとモードの関係性について語るとき、絶対に避けて通れないのがCOMME des GARÇONSの存在だ。インビテーションやルックブック、雑誌『Six』、そして実際のコレクションピースからコマーシャルラインにいたるまで、さまざまなアウトプットの手法を通し、数多くのアーティストをフィーチャーしてきた。そのアーティストの数は100や200じゃきかない。でも、重要なのはアーティストの人数ではなく、その人選だ。年齢や性別、国籍にとらわれないことはもちろん、有名であることや無名であることすらも無関係に、川久保玲氏やブランドが面白いと思った人たちに白羽の矢を立ててきた。それまでファッションとは無縁かのように思えた世界的に著名な大御所のアーティストとコラボレーションをし世間をアッと言わせたら、次のシーズンには、まだ日本国内でも知られていない若きアーティストに光を当て、その才能を世界に広めたりもする。その振れ幅の広さやピックアップするタイミングの絶妙さに、ただただ脱帽するほかはない。中でもここ最近のコレクションでいうと、2015-16AWのCOMME des GARÇONS HOMME PLUSのコレクションは強烈なインパクトだったと思う。

COMME des GARÇONS HOMME PLUS
COMME des GARÇONS HOMME PLUS's 2015-16A/W Collection

 一目で脳裏に焼きつくカラフルでまるで呪文のようなグラフィティ。実際のコレクションでは、ファーストルックのレギンスに始まり、中盤はトータルでのコーディネイト、そして終盤はジャケットの一部やバックなど、ほぼ全てのルックにこのグラフィックが使用されていた。手がけたのは、JK5こと、Joseph Ari Aloi(ジョゼフ・アリ・アロイ)。ブルックリンを拠点に活躍しているタトゥー・アーティストだ。タトゥー業界では名の知れた存在。しかし、別の見方をするとタトゥー業界というアングラ・カルチャー界隈でしか知られていなかった人物でもある。川久保玲率いるCOMME des GARÇONS HOMME PLUSがどのようにして彼の存在を知ったかはわからないが、ジョゼフ・アリ・アロイというタトゥー・アーティストを、アングラとは対照的な「ファッション」というマスのテリトリーに引っ張り上げ、その名を一躍世界的に広めたということは紛れもない事実だ。そしてそのコラボレーションによって生まれたアイテムたちは、「衣服」という誰もが日々身につけ消費される運命にあるものに、その概念とは対極の肌に直接墨を入れ、半永久的に消えない「タトゥー」のグラフィックを施した、まさしくこれまでにない唯一無二のものとなっている。

COMME des GARÇONS HOMME PLUS
COMME des GARÇONS HOMME PLUS's 2015-16A/W Pants

 ジョゼフ・アリ・アロイ自身、最初にCOMME des GARÇONS HOMME PLUSからコラボレーションの話がきたとき、大喜びしたそうだ。とあるインタビューではこうも語っている。「これまで培ってきた私のスタイルが、コレクションを結びつける糸としてコンセプチュアルに、シンボリックに、そして審美的な役割を担ったことを光栄に思います」。実際、彼の作品を多用したコレクションは、多くの人に驚嘆を与え、今なお高い人気を誇っている。ジョゼフ・アリ・アロイの作品を起用したCOMME des GARÇONS HOMME PLUSのコレクションや、ピーター・サヴィルの作品を起用したRAF SIMONSのように、アートを宿したアイテムこそよりアーカイブとしての価値が残っていくのだと思う。次にCOMME des GARÇONSがピックアップするアーティストは誰なのか? COMME des GARÇONSだけでなく、他のラグジュアリーブランドはどのようなアーティストとコラボレーションするのか? そこに着目すれば、もっとモードを追いかけたくなるし、アーカイブ・アイテムを知る喜び、着る喜びをさらに実感できるに違いない。そしてさらには、それが「アート」という新たな世界の入り口になるのかもしれない。

Text_ LUDO OSHIKAWA